★Kenro Songs/旅と料理と音楽と

前期高齢者となった元・正社員サラリーマン(現在はパートタイム契約社員)は、旅と料理と好きな音楽の話と、オリジナル曲の制作で余生を過ごすのです。

ドゥービー・ブラザース「ホワット・ア・フール・ビリーブス」 /Album「ミニット・バイ・ミニット」

 さて、Doobie Brothersです。彼らを語る時のキーワードは「ツイン」ですね。

 彼らはデビュー時、トム・ジョンストンとパット・シモンズのツインギター(一時期Steely Danからジェフ”スカンク”・バクスターが加入しトリプル・ギターとなったが、後にジョンストンが健康理由で脱退)、ジョン・ハートマンとマイケル・ホザック(のちにキース・ヌードセンと交代)とのツインドラムでスタート。

 そしてマイケル・マクドナルド加入後は、シモンズとのツイン・ボーカルとなり、ウェストコーストロックとブルーアイドソウルのツインジャンル(そんな言葉があるかどうか知りませんが)となりました。それぞれの「ツイン」が絶妙に絡み合った音楽性が彼らの魅力です。

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これも当時CDの出始めに入手したんです。中は輸入盤で3,800円。高かったなあ。

 彼らの音楽を一言で言うと、前半はギターカッテイング中心でハーモニーを利かせた「青春ロック」、後半はエレピ・サウンド中心の「都会のソウル・ミュージック」と言ったところでしょうか。

  私は彼らのアルバムをベスト盤も含め7枚持っていますが、どの時代もどのアルバムも、捨てがたい魅力があります。

 その中で最も息長くいつまでも色あせないのが、全米No.1になった”What a Fool Believes”が1978年のグラミー賞Song of the Yearを受賞し、ブルーアイドソウルの金字塔の一つとなった、このアルバムだと思います。(もちろん異論はあると思いますが)

おすすめの曲 

M2 What a Fool Believes

 マイケルとケニー・ロギンスとの共作。エレピとドラムのリラックスしたリズムで始まるこの曲は、当時多くの「イントロアレンジ・パクリ曲」を生み出しました。イギリスのマット・ビアンコが1991年にカヴァーしています。

 何か別のことをしていても、いつの間にかずっと頭の中で反芻してしまう、中毒性のある曲ですね。歌詞は「別れた彼女とまたやり直せる」と信じている愚かな男の話。 

M3 Minute By Minute

 こちらは恋人と別れようとする男が「刻一刻、離れようとしている・・・」と独白する曲。間奏のシンセサイザーはおそらく、シーケンシャルサーキット社の名機Profitですね。温かみのある懐かしい音! 

M6 Open Your Eyes

 マイケル・マクドナルド節の一曲。去って行った恋人に「もっとよく目を開いて見てほしかった」と訴える男の独白。ブルーです。 

M7 Sweet Feelin’

 パット・シモンズがリードボーカルのカントリータッチの曲。ニコレット・ラーソンが、暖かい癒しの声でデュエットしています。 

M9 You Never Change

 同じくパット・シモンズのリードボーカルに、マイケル・マクドナルドがブルーでソウルフルなコーラスを合わせています。これもついサビのフレーズを口ずさんでしまうナンバー。

他にお薦めのアルバム

1972年 トゥールーズ・ストリート

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 セカンド・アルバム。Doobiesの名前を一躍世界に知らしめた名曲 M1  “Listen to the Music”(全米11位)とM7  ”Jesus Is Just Alright”(35位)によって、彼らの地位は決定的になりました。世界中のアマチュアバンドが、こぞってこの2曲をコピーしたはずです。(私も学生時代にコーラスしました) 

1973年 キャプテン&ミー

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 引き続きアメリカンロックギター小僧のマストチューン、M2 ”Long TrainRunnin’(全米8位)とM3 ’China Grobe’(15位)が収録されています。スピード感のあるギター・カッティングの「トム・ジョンストン節」がさく裂、ウェストコースト・ロックの真只中でありながらも、南部風味も醸し出す、味のあるアルバムです。 

1974年 What Were Once Vices Are Now Habits(邦題:ドゥービー天国)

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 最初の全米NO.1であるアコースティックなゴスペル・チューンM4 ”Brack Water”を収録。この曲は当時、カリフォルニアの高校の音楽の時間に、コーラスの教材として使われたとか。間奏のアコギとフィドルの掛け合いもスリリングです。

 アルバム全体では、アーロ・ガスリーがオートハープを弾いていたり、メンフィス・ホーンズが入っていたりと、バラエティに富んだ構成になっています。 

1975年 スタンピード

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 Jeff Baxterが正式メンバーとして加入しトリプルギターになった、ウェストコースト・ロック時代の頂点のアルバム。

 モータウンの作曲チーム:H-D-Hの曲をカバーしたM6 ”Take Me in Your Arms”(邦題:君の腕に抱かれたい・11位)や、ニック・デ・カロのアレンジによりストリングスを大幅に導入し、演奏面で新境地を開いたパット・シモンズの曲M7  ”I Ceat The Hangman”など、聴きどころが満載です。 

1976年 Takin' It to the Streets(邦題:ドゥービー・ストリート)

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 マイケル・マクドナルドが正式加入しての1作目。このアルバムからMinite~までが、ある意味「マイケル・マクドナルド3部作」といったら言い過ぎかな。

 しかし彼の加入によりバンド内が化学変化を起こしたのは確かなようで、マイケル以外のメンバーも作風がずいぶん都会的になり、ソウルやR&B、JAZZ的なものに変化しています。

 パット+ジェフ・バクスタージョン・ハートマン共作のM1 ”Weels of Fortune”(邦題:運命の轍)は名曲。M2 “Takin’it To The Street”(邦題:ドゥービー・ストリート)、M7 “It Keeps You Runnin’”はマイケルのやりたい放題。でも好きだな。

 

 ちなみに次のアルバム1977年の”Livin’ On The Fault Line”(運命の掟)は、ほぼマイケルのソロアルバムと言っていい状況になっていて、バンドとしては低迷期と言えると思います。

 でもここでの葛藤が、次のMinute~で花開くのです。

その後のDoobies

 彼らは最初にご紹介した1978年のアルバム”Minute By Minute”の後、80年にもう1枚アルバム”One Step Closer”を発表しましたが、その後はソロ活動も増え、82年にフェアウェルツアーを行い解散しました。

 1989年には、マイケル・マクドナルドを除いた歴代のメンバーで再結成し、2010年にトム・ジョンストンをフィーチャーして往年のギターロックサウンドの新アルバム”Cycles”を発表。シングル曲”The Docter”もチャートイン(9位)。その後もライブを中心に活動を続けています。

 

 公式サイトによると、今年7月~11月にも50周年記念ツアーを行ったようです。トム、パット、マイケルと、3代目ベーシスト:ジョン・マクフィーをメインにしたメンバーだったとか。

 さすがにもはや「懐メロ・アーティスト」であり、過去のメンバーもずいぶん亡くなられていますが、彼らの音楽は現代のアメリカではフォロアーが現れていない、唯一無二のジャンルであると思うだけに、できるだけ長くやっていただきたいものです。

 

ではまた。