★Kenro Songs/旅と料理と音楽と

前期高齢者となった元・正社員サラリーマン(現在はパートタイム契約社員)は、旅と料理と好きな音楽の話と、オリジナル曲の制作で余生を過ごすのです。

今度は、歌手・声優の天地総子さんが亡くなられました( 東映動画とアニメーションの「動き」について)

 先日、藤田淑子さんの訃報を聴いたばかりですが、今度はCMソングの女王として、声優として有名だった天地総子さんが亡くなられたそうです。平成と言う時代は、つくづく「昭和」が終わってゆく時代なんだなあ・・・と思いますね。享年78歳だそうで、本当に残念です。ご冥福をお祈りいたします。

 初めて天地さんの歌声を聴いたのは、TBSラジオで聴いた「子供電話相談室」のテーマ曲でした。兄が応募した相談が取り上げられ放送されるとのことで、家で聴いていました。

 私にとって印象深い天地さんの出演作は、やはり藤田淑子さん同様、東映動画の「どうぶつ宝島」のヒロイン、キャシーの声です。

f:id:kenro1601b1:20190112171810j:plain

東映動画のサイトから転載です)

 左がキャシー。右は主人公の男の子・ジム:声は松島みのりさん。当時の女性声優で1・2を争う二人の、2度とない夢のような奇跡の競演でした。

 お二人は確か同年代だったと思いますが、松島さんにはまだまだ長生きしていただきたいものです。

 東映動画とアニメーションの「動き」について

 さて、どうぶつ宝島は1971年の作品です。当時私は中学1年生。実家の近くにあった東京新宿・神楽坂の「武蔵野館」という映画館に見に行きました。小学生以下が子供料金、中学生以上が大人料金で400円くらいだったかな。飯田橋名画座「佳作座」が120円くらいでしたから、そんなもんでしょう。(ラーメン一杯60円とか80円とかの時代です)

 私は窓口で「大人1枚」と言うとチケット販売の女性(おばさん)から、「いいんですか?漫画ですよ?」と聞かれましたが、私は「いいんです!」と言って入場券を買って入場しました(老け顔だったのかな)。入れ替えなしだったので、朝から夕方まで3回も見て、更に翌週も行き、都合6回もスクリーンで見てしまいました。

 詳しい内容はレーザーディスクの解説に譲りますが、東映動画20周年記念と銘打ち、宮崎駿さんが中心になって企画や原画に参加し、作画監督が森 康二さん。主人公以外の声優陣もしっかりした力量の方ばかりで、良いものができないはずがない布陣です。

 これは、東映動画オリジナル長編漫画映画の集大成と言っていい、本当に素晴らしい作品だと思います。特筆すべきはアニメーション=動画としてのキャラクターの「動き」です。かなり頑張ってフルアニメーションに近い動きを出しています。 

f:id:kenro1601b1:20190112180706j:plain

 フル・アニメーションとは、フィルムの1秒間を24コマで撮るということ。これは通常の実写の映画と同じコマ数で、動きがとても滑らかになります(ディズニーの昔のアニメーションはすべてこれです)。ところが手塚治虫さんの虫プロ鉄腕アトムを毎週放送するにあたり、1秒間を17コマ程度に間引きするリミテッド・アニメを発明してしまいました。

 更に、さいとうたかおさんの「ゴルゴ13」のTVアニメ化の際、絵が一切動かずカメラワークだけで動いているように見せた「紙芝居」手法が開発されるに至り、今日放送されるアニメはほとんどがこのリミテッド+紙芝居という、動きの少ない手法で作られるようになってしまいました。

 その方向性に、正に大きく舵を切ったのは、私は「宇宙戦艦ヤマト」の劇場版第1作(1977年)ではないかと考えています。あれがヒットしたおかげで、「あの程度の動きでも許容される」という暗黙の認知が確立したものと思います。

 私は当時大学生で、有楽町まで見に行きましたが、海底に沈んでいたヤマトが泥の中から浮かび上がり、反転浮上して行くシーンを見て、そのあまりの動きの悪さに幻滅してしまい、それ以降アニメから遠ざかることになりました。私にはこの体験と記憶があるので、これ以降の日本のアニメーションがどうも水準の低いものに感じられてしまいます。

 ですから、私にとってはガンダムエヴァも、ファンの方には本当に申し訳ないのですが、見るに耐えうるものではありません。

 

 私を再び劇場アニメーションの世界へ引き戻してくれたのは、「風の谷のナウシカ」=宮崎駿さんでした。冒頭のオームの動き一発でやられましたね。「(東映動画の経験のある)宮崎さんだけは、こういうことをちゃんとやってくれる!」うれしかったです。

 

 だいぶ話が飛んでしまいましたね。ではまた。