デュア・リパ「レビテイティング」/Album「フューチャー・ノスタルジア」
おじさんはいつも昔のアーティストの、古い曲ばかりを聴いているイメージかもしれませんが、実は毎週、テレビ神奈川の Billboard Top 40 で最新のヒットチャートもチェックしています。本当は時代もジャンルも関係なく、とにかく良いメロディが聴きたいのです。
D-から始まるアーティストの最後は、今年大活躍したDua Lipaを推しましょう。
彼女は1995年、ロンドン生まれの25歳。ファッションモデルでありシンガーソングライターでもあるんですね。複数の才能を持って生まれた若者が成功するのは、見ていてうらやましい限りです。
Dua Lipaの音楽性
2017年に"New Rules"がヒットした時は、「変なメロディの曲だな」と思っていましたが、このセカンドアルバムでは、全体に70年代のディスコ・ミュージックを彷彿とさせるサウンドが展開し、ラップは少なくメロディアスな曲調が続きます。
ノリの良さ、メロディの分かりやすさ、彼女の贅肉のない声質も合わせて、聴いていてとても爽快です。捨て曲はありません!
しかし昔のディスコ・サウンドと大きく違うのは、バックのオケがドラムとベースを基調に、とてもシンプルでコンパクトにまとまっていることです。(全てPCベースのサンプラー音源を利用し、プログラミングされたものです)
昔のディスコ・サウンドによくある「絢爛豪華なストリングス」はほとんど出てきません。場面によってはDsとBassだけで歌っているところもあり、ストイックで贅肉が無い、オーガニックなイメージも、とても現代的で清々しいものです。
メディアとアーティストについて
今年私が良く聴いたのは、男性ならPost Malone、女性はDua Lipaでした。しかし両方とも、もうCDは購入していません。Spotifyを利用し、net上でいつでも何度でも聴くことができるので、もはや「所有する」必要が無くなりました。
少しの間広告が入ることを我慢すれば、無料です。つまりラジオと同じ。更にラジオより良いのは、余計なしゃべりがかぶされて曲が邪魔されることなく、完全な形で全曲聴けるということ。
すごい時代になりましたね。どこかの本で「誰が音楽を無料にしてしまったんだ」という論調がありましたが、ホントその通りですね。
アーティストの側は、完全に無料で音楽を提供しているのでなく、「所有したい」リスナーのダウンロード料と、無料リスナーが聴く広告の料金で収入を得ているわけですね。
リスナーにとってみれば、より低コストで多くの音楽に触れる機会が広がって、より良い世界になったと言えますが、アーティスト側からすれば、「ヒット曲を作り続けなければ、極端に収入が減ってしまう時代になった」と言えるのではないでしょうか。
すると何が起こるのかと言えば、余分なコストをかけられなくなるわけで、まず職人芸の楽器プレイヤーを雇う余裕がなくなります。コーラスも自分でやるようになる。自然とソロアーティストの時代になって行くわけです。しかもマルチタレントでなければならない。
昔のような、「ドラムなら誰」とか「スティールギターの名手が参加している」なんていう世界はもう永久に終りということですかね。音楽から、アンサンブルという概念が無くなりつつある、そんな流れでしょうか。 昔から音楽を聴いているおじさんには、その辺が寂しいところです。厳しい時代ですね。
日本だけは未だに、大人数で・ユニゾンで歌う(コーラスができない)「群舞」のグループや、昔ながらの「バンド」(本当は正規メンバーだけでは自分たちの曲を演奏できないが)など、低レベルの音楽アーティスト(実は芸能タレント)達が幅を利かせている状況ですが、いずれ日本の音楽シーンもそうなって行くのでしょう。
ではまた。皆さん良いお年を。来年もよろしくお願い致します。