★Kenro Songs/旅と料理と音楽と

前期高齢者となった元・正社員サラリーマン(現在はパートタイム契約社員)は、旅と料理と好きな音楽の話と、オリジナル曲の制作で余生を過ごすのです。

かの香織「放課後のサブリナ」/Album「ファイン」

 たまには邦楽のアーチストも推しましょう。今回はかの香織さんです。てっきりK-から始まる人だと思っていましたが、よく見るとCano Caoriと表記されていました。

 このアルバム“fine”は1991年の彼女のデビュー作です。私は当時、何気なくFMラジオを聴いていて流れてきたこのアルバムの曲のメロディが頭から離れず、急いでこのCDを手に入れました。

f:id:kenro1601b1:20200628175840j:plain

 当時、30過ぎて子供もいる「おっさん」だった自分が、こんなアイドル系みたいなCDを買うのには少なからず抵抗がありましたが、いざ手に入れて聴いてみると、Vitamin POPというキャッチコピーそのもの。とても良いアルバムです。

 どちらかと言えば女子高生的な、20歳前後の若い女性の感覚に満ち溢れていますが、明るく冒険心にあふれ、感受性豊かなみずみずしい感覚で歌詞やメロディが作られており、今聞いても少しも古さを感じません

 

 バックも、元・四人囃子プラスチックスで活動した佐久間正英氏らが全面的にサポートしプロデュースもされていて、充実した演奏・アレンジが光っています。「買ってよかった」と思える好盤です。

 

おすすめの曲

 特にシングル化は無かったようですが、佳曲がたくさんあります。

M2 ほんものがいっぱい

M5 みちくさ

M6 放課後のサブリナ

M10 SOINE

 

かの香織さんの、他のおすすめアルバム

Extra Bright

f:id:kenro1601b1:20200628175909j:plain

 こちらは94年の作品。アルバム全体のトーンはfineの延長線上と言えると思いますが、ここで聴くべきは何と言っても M3 青い地球は手のひら でしょう。

 

 当時世はバブル崩壊後の「平成大不況」の真っただ中であり、景気のいい話がほとんどなかった時代。でも、高校生の頃自転車に乗って地元の街を走り回っていた少女は、4年後、大人になって仕事で成功し、長期バカンスの権利を得て世界に飛び出し、見聞を広げている・・・そんなサクセスストーリーが垣間見える歌詞とサウンドです。

 私は当時この曲を聴きながら、安月給のサラリーンのひがみよりも素直にあこがれを感じて「いつか自分もそんな風になりたいな」と思いながら、愛聴していました。(結局、安月給のままでしたが・・・)

 

 そしてこのアルバムは、全体を通して海外の、又は海外で活躍するミュージシャンがたくさん参加しています。特にこの曲のリズムは、ドラマーの屋敷豪太氏がプログラミングしていたようです。

 またこの頃には、デビュー時から感じていた発声や発音の「クセ」がだんだんエスカレートして、「クセがすごい」状況になって来ています。

 聴く人によって好き嫌いは別れるとは思うのですが、私からすれば、そのこともまた、いかにも気持ち(思い入れ)が入っている感じがして良いんだなあ。

 これも何回も「一曲リピート」してしまった曲です。

 

 今どきのJ-POPと違うのは、アルバム全体を通して、とにかく曲調がメジャーで明るいこと。安易にマイナーでアップテンポにして(日本人に最もウケる線を狙って)、ただひたすら「売ろう」とするのではなく、ちゃんと「目指す音楽性の軸を持っている」ということ

 右から左へ消費されてゆく流行歌(=商品)ではなく、作品(=文化)を作ろうとしている。その心意気が感じられる点が、とても素晴らしいところだと思います。

 

 ソロシンガーとしてのかのさんは2005年ころまで活動されていたようですが、並行してCMやアニメのテーマ曲を作ったり、他のアーチストのコラボに参加したり、その後も幅広い活動をされています。

 また近年は宮城県のご実家の酒蔵を継いでおられるとか。更に2016年には音楽セラピーのNPO法人を立ち上げ、精力的に活動されているようです。大した方ですね。

 

ではまた。