読書の秋です
すみません。3か月ぶりの更新です。
前回、古典SFのお話をしましたが、以来ずっとはまってしまい、仕事であちこち出張する間の電車やバスの中で、つかの間の読書に耽っています。
さてSFと言えばロボット、そしてロボットと言えば、元祖はアイザック・アシモフですね。これは2004年にハリウッドで映画化された "アイ・ロボット” の原作となる短編集です。
映画は一つの物語のような作りでしたが、実際は約10年間にわたって書き続けられた、短編連作だったんですね。ここに収録されたのは、1940年から1950年までに発表された9つの作品です。
ストーリーは、初期の機械人形的な風貌のロボット(=ロビィ)からスタートし、やがて人間と見分けがつかないほどのロボットが登場し、宇宙時代の地球のリーダーになって行く話になっています。70年以上も前に発表された作品ばかりですが、少しも古さを感じませんし、まだ実現していない未来の話ばかりで、少し極端にいれば、これから未来に起こるであろう「予言集」とも言える内容です。
当時アシモフが想像したのは、2030年ころ(執筆当時の約100年後)世界はこんな状況になっているというものでした。あいにく彼の想像よりも現在のロボット工学は進んでいません。それは現在、「鉄腕アトム」も「ドラえもん」も、それぞれ設定された誕生日を過ぎているのにまだ開発されていないことからも明らかです。
将来、本当にこんな時代がやってくるのかどうか、今を生きている人間には皆目分かりませんが、最近のAIの発展を見聞きすると、いずれあと100年か、それとも1000年後、あるいは今から数年先、人間がモラルを忘れ自信を失った時代(既にそんな時代ですが)に、AIやロボットたちに、人類世界の平和的な延命を託さざるをえない時が来るのかもしれません。
ちなみに、手塚治虫の「火の鳥・復活編」の子守ロボット:ロビタ(アシモフのロビィがモチーフと思われます)が販売されているのは西暦3000年ごろですが。
いずれにしてもその時代、人間がロボットに頼る拠り所は、アシモフの発案した「ロボット3原則」に他なりません。このロジックがあるおかげで、ロボットは単なる機械ではなく、急激に意思を持ち人間味を帯びた、ドラマのキーパーソンになって来るのです。
それにしても今から70年前に、ここまでの未来を「予知」していたアシモフという作家のイマジネーション力のすごさに、改めて感銘を受けます。とにかくすごい。
良かったら読んでみてください。短編集なので読みやすいですよ。
"アイ・ロボット”の続編、作ってくれないかな!
ではまた。